【広島】田中広輔をトレードするべき理由
カープが、変革の時を迎えている。
2016年~2018年の三連覇を支えたのは、『タナキクマル』こと田中広輔、菊地涼介、丸佳浩の3人だった。彼らが不動の上位打線、不動のセンターラインを形成したことで、攻守に隙のない"絶対王者広島"は完成した。
しかし2019年、丸が巨人に移籍。首脳陣は田中に中軸の役割をも期待したが、責任感が悪い方に転び、田中は開幕から絶不調に陥る。孤軍奮闘した菊地は今オフのメジャー挑戦を表明し、磐石だった『タナキクマル』は1年あまりで完全に崩壊。チームも4位に沈んだ。
そこで、である。
もし菊地のメジャー移籍が実現するなら──という前提ではあるが、ひとつのプランが浮上する。
それが、田中広輔のトレード放出である。
もし菊地がカープに残るなら、来年は『タナキクコンビ復活』の年にすれば良い。田中の復調は何よりの補強であり、Aクラス入りも充分に望めるだろう。
しかし菊地がいなくなった場合──仮に田中が完全復活したとしても戦力増は見込めない。5割をウロウロするチームで伸び代のない中堅を使い続けて、果たして誰のためになるのだろう?
幸か不幸か、カープには小園海斗がいる。高卒ルーキーながら4本塁打を記録したこのスター候補を、球団は来年どう扱うつもりなのだろうか。田中がいるから二軍? 田中がいるからセカンド? そのどちらも最適解には思えない。スターはやはり依怙贔屓されるべきである──かつての坂本勇人のように。
さらに言えば、上記は『田中が復活しても』発生する問題である。復活しないという可能性も充分にある。そうなった場合、高給取りの32歳はもはや『不良債権』でしかない。後ろ指を刺される田中広輔を、ファンは見たいだろうか。
だからこそ、このタイミングでのトレードである。
どうせ優勝は難しいのであれば、小園の育成に全力をあげ、膨れ上がった総年俸を抑える。それこそが賢明な経営判断と言えるのではないか。
田中にとっても、早熟の黄金ルーキーを横目に見ながら、代打と守備固めとたまのスタメンに甘んじる日々を送るより、求められた場所で輝く方が幸せのはずだ。
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さて、ここまで、トレード案の論拠を理解していただけたと思う。
では、いったい誰とトレードするべきなのだろうか。
ピッタリの選手がいる。
それは、阪神タイガース・糸原健斗である。
昨年はセカンドのレギュラーとして全試合出場を達成したものの、脚力・守備力は二遊間の選手としては平均以下。一方、高い出塁率と粘り強い打撃に定評のある選手である。
阪神は今オフ、強打の一塁手・ボーアを補強。それによって一塁だったマルテを三塁、三塁だった大山悠輔を二塁へ移動させるという強気なコンバート案が浮上している。
一方、遊撃手は鳥谷敬の後任が定まらず、今季起用された北條史也・木浪聖也は失策を重ねた。二人とも特に送球に難があり、二塁での起用であればエラーは抑えられたかも知れない。
つまり『田中獲得による遊撃の固定と、二塁を空域にした柔軟な内野手起用』こそ、今の阪神の諸問題を一度に解決できる妙手なのである。
広島としても、糸原の存在は頼りになるはずだ。
セカンドは新外国人のピレラが基軸になると思われるが、特に守備については未知数。レギュラークラスの打撃力で、それなりに二塁を守れる糸原は、選択の幅を広げるに違いない。
またコストパフォーマンスの面でも、年俸1億5000万円で32歳の田中に対し、糸原は6000万円の28歳。Bクラス覚悟のシーズンを凌ぐには、まさにうってつけの存在と言える。
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以上、ここまでお付き合い頂いて感謝する。
我ながらドラスティックな、無慈悲な案であることは理解している。田中広輔はカープの大スターであり、大功労者である。もし放出することになれば、多くのファンが悲しむことであろう。
しかし、変革の時に求められるのは"スクラップ&ビルド"である。タナキクマルが創ったカープを壊し、そこに鈴木誠也、西川龍馬、そして小園海斗のカープを作り直さなければいけない。そうやって新陳代謝を図ることで、勝ち続ける組織が生まれるのである。
最後に、上記のトレードが成立した場合の予想スタメンを記載しておく。
一理あると思うか、一笑に伏すか、それはあなた次第である。
●広島東洋カープ ●阪神タイガース
(中)△西川龍馬 (遊)△田中広輔
(二)△糸原健斗 (中)△近本光司
(一) バティスタ (左) サンズ
(右) 鈴木誠也 (一)△ボーア
(三) ピレラ (三) 大山悠輔
(左) 長野久義 (右)△糸井嘉男
(捕) 會澤 翼 (二) 北條史也
(遊)△小園海斗 (捕) 梅野隆太郎
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